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「音楽三昧」

2006年12月号

VIVO!!のみなさんは、レッスンでピアノを弾く他にも楽典やソルフェージュを勉強していますね。今回の音楽三昧では、楽典やソルフェージュがどう大切なのか、分かりやすく書いてみます♪

<ピアノは多旋律楽器>
ピアノというのは右手と左手で弾き、同時に何本もの旋律(メロディー)を奏でたり、和音を奏でることができますね。そこが他の楽器と違うところで、ピアノの魅力でもあります。
それらを演奏するには、その特殊な能力を鍛えねばなりません。そしてそれは、ピアノを始める最初から積み重ねていくことが大切です。

<まず始めに必要なこと>

みなさんはまずピアノを始めてから、私が楽譜に音の名前を書いたものを毎週弾きますね。そしてピアノを弾くことに慣れ、正しい指の形を身に付けていきますね。それと同時に、自分でも早く音符を読めるように、別のテキスト(コピー)で五線譜の上での音符の位置をしっかり覚えていきますね。
ここがとても大切な過程になるので、テキストに書く作業が流れ作業にならないように、1つ1つ丁寧に進めていってほしいナと、私はいつも思っています。

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<音を楽に読んで弾けるように>
ピアノを弾くときに、常に音を楽に読めるように。これがまず初めの段階での、ソルフェージュの目的です。
みなさんは成長とともに、弾く曲の音が多くなっていきますね。それはとても嬉しいことだし、楽しいことのはずです。
だけど音を読むのが苦手だったら、譜読みはつらいものになってしまうでしょう。そうならないように、どの段階においてもスラスラ音が読めるようになってほしいと思います。
そのために、読譜、記譜、聴音、視唱、リズム打ち、初見などを段階に合わせて、毎回少しずつ積み重ねていくことが後に大きな成果をもたらすのです。


<譜読みが苦手になってしまうと・・・>

楽典・・・記譜法と、音程、和音、和声学、強弱、楽語に関する学問
ソルフェージュ・・・楽典も含む、音楽の総合的な基礎教育。(聴音、視唱、初見、リズムなど)


バッハのインベンションで挫折してしまったり(音がパズルのような謎掛けになっているので。美しい曲なのですが・・)、どの曲を弾くときにも音を拾うのに精一杯で、音楽を楽しむところまでいけなくなってしまいます。
また、譜読みで音を間違ってしまうと、耳から入った記憶は強いのでなかなか直すことが出来なくなってしまいます。
譜読みが曖昧だと、もう何もかもが曖昧でいい加減なものになってしまうという悪循環に陥ってしまうのです。

それから一見ちゃんと譜読みしていそうでも、楽譜に書いてある指使いを見てなんとなく、勘で音を弾いてしまう場合もあるので時々、指使いの書いていない譜面で初見をすることも必要です。

<更なるステップのために>
「音を楽に読んで弾けるように」の最後に書いた『大きな成果』は、ただ音やリズムを読んで弾くというだけでなく、音楽の内容へと深く関わっていくことに繋がっていきます。そのことを次に書きますね。

 

<クラシック音楽の決まりごと>


クラシック音楽は、ヨーロッパで発祥した伝承文化です。
この音楽には決まりごと(ルール)が沢山あって、「感情をこめて弾く」といっても、そこには人々にある程度の共通した音=気持ちの法則があるのです。
例えば、「ハ長調のある和音はこういう色、こういうイメージ」というようなことです。これらは「楽典」を勉強することから始まります。
このようなことは「この和音は」「この音の配列は」「この進行では」というようなカテゴリーごとに沢山のパターンがあり、しかもそれらを組み合わせることで更なるパターンが発生します。(ちょっと難しくなっちゃったかナ)
クラシック音楽には、こうした「伝承する思考と音の技」が無数にあるのです。

<ルールを勉強しながら自分を表現する>

聴音・・・他者がピアノで弾いたメロディーや和音を、鍵盤を見ずに譜面へ書き取ること。自分で曲を弾く時や、他の楽器とのアンサンブルの時に各声部を完全に聞き分ける能力を養うことに役立つ。
視唱・・・初めて見るメロディーを歌うこと。瞬時に適切な息継ぎと美しい曲の構成を感じ取り、正しい音程でうたう。歌は音楽の基本。
初見・・・初めて見る楽曲を弾く。間違いなく演奏する。譜読みの能力を養う。
上記のこれらは音楽大学の入学試験で必須。


これらをふまえながら、自分の気持ちを曲に投影していくのです。楽典やソルフェージュを学ばずにただ自分の気持ちをこめて弾くだけでは、独りよがりになってしまいます。特にヨーロッパでは、こういう日本人はすぐに見抜かれてしまいます。
私の通った桐朋学園という音楽大学は、子どもの頃からこうしたことを学んだ人々が行く学校です。日本の音楽大学の中で、桐朋学園出身の人が最も多く海外で活躍しているのは、こうしたことが影響しているのです。
そして私は、将来音楽を専門にする人だけでなく、趣味として音楽を楽しむ人も、こうした勉強をしたほうがより音楽を深く楽しむことができるので、すべきだと考えています。(小さな頃から少しずつ勉強していけば、決して難しいことではないのです。)

<弾けてから、ではなく譜読みの時から>
楽典やソルフェージュで学んだことを、譜読みの時から「この音はどういう音色で弾くのか」「どういうフレーズで弾こうか」というイメージに活用してほしいのです。
さっきも書いたように、耳の記憶というのは影響力が大きいので、「どう弾こうか」というイメージのない音(無神経に出てしまう音)を最初から出さないほうが良いのです。
なんとなく音を出してしまうと、自分でも気が付かないうちに、美しくない音にすっかり慣れて何とも思わなくなってしまう、それが一番怖いことです。

<まとめ・レッツトライ!>
今日お話した「楽典・ソルフェージュ」は、何年もかけて少しずつ少しずつ習得していくものです。伝統芸術というのは職人のような要素も含んでいるので、身につけるのに年月がかかります。
毎週のレッスンはピアノの時間が多く、楽典・ソルフェージュの時間は少ないですが、こうした意味があるということを心の隅にちょっぴり置いて、勉強していってほしいなと思います。
これらは必ず、みなさんのピアノに反映されていくと思います。私はそれが楽しみなのです♪

これからクリスマスにお正月と、ワクワクする季節ですね♪みなさんは、お正月をどちらで迎えますか?来年も良い年になりますように!また元気いっぱい新年にお会いしましょう♪

(毎月末発行 / 文章 ・ 河合美穂)

 

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